晴耕雨読と母ちゃんの夏休み

今週のお題「理想の老後」

 

老後と聞いて、なぜか真っ先に思い浮かんだ四字熟語がある。晴耕雨読。「悠々自適の生活を送ること。晴れた日には田畑を耕し、雨の日には家内で読書をする意から。」

 

小学生の頃、ちびまる子ちゃんの四字熟語教室と言う本を読んでいた。1ページで1つ熟語が紹介されていて、意味や例文とともに4コマ漫画が添えられていた。まる子のお父さんだったかお母さんだったかが、いつか晴耕雨読の生活を送ってみたいなーと言っていたような記憶がある。ちなみにこの◯◯教室シリーズのおかげで、国語のテストは良い点を取れていた。

 

ちびまる子ちゃんには色んなキャラクターが登場する。その中で私は、まる子のお母さんが、あまり好きじゃない。理由は教育に関する姿勢。テストで悪い点数を取った娘を怒鳴りつけているシーンをしょっちゅう目にするが、娘がどうすれば前向きに勉強するだろうかと考えたり、娘の教科書や宿題のプリントに目を通したり、何のために勉強するのか娘と議論したりするのを見たことがない。ちなみにこれらは個人的に、親としてとても大事だと考えている。

 

特に、悪い点数を取った娘を怒鳴りつける行為。ベストセラーの、アドラー心理学入門書の受け売りになるが、たとえば喧嘩して暴力を振るうのは自分の主張を楽に押し通そうとする安直なコミニケーション手段である。言葉で説明する手順を面倒と感じた幼稚な行い。どなりつけたり大声をあげたりするのも、それに類する行為。娘の気持ちに寄り添うことをせず、なぜ宿題をしないといけないか、なぜ勉強しないといけないか説明することもなく、結果だけを見て怒鳴りつけているその姿は不快に感じる。

 

ただ、母親として主婦として、掃除洗濯料理をし、一家を支えていることには尊敬の念を覚える。就職を機に一人暮らしをするまではずっと実家暮らしをしていた私は、母親がご飯を作ってくれることもお風呂掃除をしてくれることも家族全員が風呂に入るのを待ってホースを浴槽に入れて洗濯機を回してくれるのも、一定の感謝はすれど、当たり前に感じていた。一人暮らしをしている今は、ご飯は自動でできないし、掃除をしないと部屋もお風呂も汚れるし、洗濯しないと服もきれいにならないことも身に染みている。

 

先日、春日部駅かあちゃんの夏休みはいつなんだろう」広告が話題になった。目の前の夏休みを満喫することで忙しいはずの子どもが、そういえばと、自分はこうして今夏休みだけど、母ちゃんはどうなんだろうと思いを馳せる。料理や掃除や洗濯をしてくれている母親の苦労を気遣う気持ちがこの疑問には含まれている。素敵な広告だと思う。

 

以上踏まえて、今週のお題。私の理想の老後は、晴耕雨読の生活を送ること。そしてもう一つ、家族や親戚に囲まれて、お互いにお互いの立場を想像し、気配りをしあえるような、そんな暖かい人間関係を持つこと。そして孫にいつか言ってもらおう。「じいちゃんは毎日夏休みなの?」…あれ、なんか違う